最高の知識をネット上から集めて再配信するブログ

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。







どこの職場にもいる、「働かないオジサン」――若手社員の不満が集中する彼らは、なぜ働かなくなってしまったのか? 「どこの職場にもいる」ということは、何か構造的な問題が隠れているのではないか? ベストセラー『人事部は見ている。』の筆者が、日本の職場が抱える問題に鋭く迫る。
■リクルート社では、働かないオジサンはいない?

今までの連載では、働かないオジサンの実例に加えて、彼らが生まれる会社の仕組みや、なぜ彼らの給与が高いかなどについて述べてきた。

しかし、すべての会社に働かないオジサンがいるわけではない。先日、かつてリクルート社に勤めていたAさんに、お話を伺う機会があった。その際、入社30年目の同期会が開催されたときのことが話題に上った。

「30年間ずっとリクルート社で働いている同期の方は、どの程度おられるのですか?」と聞いてみた。「1割くらいでしょう」とAさんは答えてくれた。

同じ大手でも伝統的な企業であれば、30年間で退職した社員が1割、という会社もある。リクルート社では、残っている社員が1割なのである。若い頃から起業・独立を目指している社員が多いからだろう。

「会社に残っている50代の社員は、どういう仕事をされているのですか?」と聞いてみると、管理職よりも、専門職的な仕事をしている社員が多いそうだ。この連載の初回に登場したような働かないオジサンは、リクルート社にはいないと、Aさんは語ってくれた。
■38歳は、働かないオジサンになる曲がり角?

リクルート社でまず思い出すのは、かつて「38歳定年制」と呼ばれていた人事制度である。もちろん38歳になったら全員が定年でリタイアするわけではない。

制度に多少変更があったと聞いているが、数年前に各社の退職金制度を調べていたときには、リクルート社では38歳のときに辞めると、受け取る退職金が最大になるということだった。60歳の定年時の退職金が最も多いわけではないことは興味深い。38歳で最大になるのは、起業・独立や転職に関する支援金を支給するという意味合いが大きいのだろう。

考えてみると、この38歳というのは絶妙なタイミングである。第3回の、働かないオジサンを生み出す仕組みを表した以下の図を思い出していただきたい。

学生から、新卒一括採用を経て入社して、当面は非管理職として現場で働く。そして40歳前後で管理職になる年次がやってくる。大手企業では、管理職になるのは、早くて30代後半、平均すると40歳という調査結果がある。つまり新卒一括採用と組織のピラミッド構造の矛盾が始まる時期、もっと言えば、働かないオジサンが生まれ始める時期が40歳直前なのである。

38歳時点の退職金を最大としているのは、管理機構は小さくして、現場中心でやることを会社が宣言しているように思える。だから退職金の額が最大になる時点を、管理職になるかならないかの境目においている。

言い換えれば、中間管理職の肥大化を抑えて、若手社員中心で組織を運営したいという意図があるのだろう。Aさんも、残っている50代社員の中で管理職的な仕事に携わっている社員は少ないと話していた。また、社長も40代で誕生するという。結果として、働かないオジサンは生まれえないわけだ。
■会社員人生には、前半戦と後半戦がある

このリクルート社の対応は、社員のライフサイクルの変化をよくとらえた人事施策である。リクルート社のビジネスモデルは、仕事、住宅、旅行、結婚などの個人向けサービスのマッチングをベースにした比較的シンプルなものである。だから管理機構を小さくして、現場の若手社員の活力で乗り切っていこうとしていると思われる。

つまり、自社のビジネスモデルを反映した人事施策になっているのだ。しかも社員の年齢に焦点を当てている。

同じ社員であっても、ライフサイクルの変化によって働き方は変わってくる。本来は、そういう変化をとらえながら人事マネジメントを行っていく必要がある。一方で個々の社員も、年齢を経ることに応じた働き方をつねに考えておかなければならない。

しかし従来の人事制度は、それほど年齢を勘案せずに一律に運営されているきらいがあった。同時に社員の側も、自らのライフサイクルについての感度が鈍かった。

20歳過ぎから60歳までの会社人生を、一気に走り切ることは難しい。

会社人生は、大きく分けると、入社してから仕事を通じて自立していく時期と、組織での仕事に一定のメドがついてから、自分の今後の在り方を考える時期の2つの段階がある。

前者は、仕事仲間や顧客に役立つ自分を、どう作り上げていくかというという課題があるのに対して、後者は、定年後の老いることや死ぬことも視野に入れて、組織との距離感をどう計るのかがポイントである。

中高年社員は、このような切り替えが求められているのに、前半戦と同じペースで走ろうとするから、働かないオジサンになってしまう面がある。今まで述べてきた会社の仕組みだけの問題ではないのである。

2012年に、国家戦略会議のフロンティア分科会が「40歳定年」を提言したが、マクロ面が中心で、社員のライフサイクルまで踏み込めていなかったので、抽象的な議論のまま終わってしまった。
■「こころの定年」にどう対処するか

私は、ここ10年ほど中高年サラリーマンに対する取材を繰り返してきた。その際に、会社組織に適応している会社員でも、40歳前後から揺れ始める人が多いことに気づいた。

揺れるきっかけは人それぞれで、漠然と「このままでいいのだろうか」と考え始める人もいれば、自分の病気、勤める会社のリストラや合併、親の介護、子どもの問題が契機になっている人もいる。また、震災や友人の死がきっかけになった人もいる。

先ほど述べた会社人生の前半戦と後半戦の境目が、このあたりにある。40歳というのは、会社員生活の折り返し地点であると同時に、人生80年の中間地点でもあるというのが興味深い。また管理職、非管理職といった会社での自分の立場が明確になる時期にも符合している。

この時期の心の揺れを具体的なインタビューでの発言から集約すると、「誰の役に立っているのかわからない」「成長している実感が得られない」「このまま時間が過ぎ去っていいものだろうか」という3点になった。

私は、このように組織で働くことの意味に悩む状態を「こころの定年」と名付けてみた。死を迎えるときが「人生の定年」、60歳(65歳)が「就業規則上の定年」であるとすれば、それより前に訪れる、この「こころの定年」とどのように対峙するかが、とても大切であると考えている。働かないオジサンは、何らかの意味で、この「こころの定年」に正面から向き合っていないような気がするのである。

今後は、連載の軸足を会社の仕組みから、社員個々の会社人生に移しながら、進めていきたい。どのように「こころの定年」を越えるかについても、考えていくつもりである。




コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://supreme2006.blog81.fc2.com/tb.php/662-f6118ae0
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック

無料カウンター

 あああ