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米国の若者が抱える学生ローンの重荷

東洋経済オンライン 7月11日(木)8時0分配信

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米国の若者が抱える学生ローンの重荷

 7月4日は米国の独立記念日だった。多くの人が家族や友人とバーベキューに興じるほか、夜には花火を楽しむのが恒例行事だ。ここニューヨークでも、マンハッタン島の西側を流れるハドソン川で合計4万発もの花火が打ち上げられた。

【詳細画像または表】

 独立記念日を過ぎると、米国は本格的な夏休みシーズンに入る。とりわけ、期末試験を終えたばかりの米国の大学生にとっては待ちに待った休みとなるはずだが、今年は、夏休みの到来を手放しで喜べない学生もいるようだ。

■ 学生ローンの借入残高は景気後退下でも増加

 というのも、連邦政府が貸し手となる学生ローンの金利低減措置が7月1日で失効し、一部のローン金利が3.4%から6.8%へと倍にハネ上がったためである。こうした金利上昇により、米国の学生約2000万人のうち、およそ700万人が学生ローン負担の増加に直面すると予想されている。

 議会は新たな法律を制定し、7月1日にさかのぼって低減措置を適用する方針だが、今のところそのメドは立っていない。学生の憂鬱は、もうしばらく続きそうだ。

 ただ、仮に議会の取り組みが実を結び、学生ローン金利が結果的に低い水準にとどまったとしても、米国の学生はすでに多額の学生ローン債務を抱えており、その負担感は強い。

 事実、学生ローンは景気後退下でも残高が増加を続けた唯一の家計債務として知られている。米国全体の学生ローン債務残高は今年3月末時点で9860億ドルと、1兆ドルの大台が視野に入りつつある状況だ。2010年には残高ベースで自動車ローンやクレジットカードローンを上回り、今や住宅ローンに次ぐ存在となっている。

 債務残高が増加を続けている背景には、学費の高騰がある。米国教育省の全米教育統計センターによると、4年制大学の学費は2000年代に入っておおむね前年比5%近い速さで増加を続けており、物価上昇ペースを大きく上回っている。寮費や食費などを含めると、4年間の総額で10万ドル近い出費となる計算だ。

 また、進学意欲の高まりが継続していることも、債務残高の増加に影響しているとみられる。2010年の大学就学率(18~24歳人口に占める2・4年制大学学生数の割合)は41.2%と、10年前の水準から5%ポイント以上も上昇している。

 学費が高騰しているにもかかわらず進学意欲が衰えないのは、大学進学に相応のメリットがあると考えられているからだ。

 実際、学歴別の賃金水準(中央値)を見ると、4年制大学以上の学位を持つ労働者の週当たり賃金は昨年平均で1165ドルと、高卒者(652ドル)の1.8倍、高卒未満(469ドル)の2.5倍の水準である。

 加えて、就職機会の差も歴然としている。大学卒業者の失業率は昨年平均で4.0%だが、高卒では8.3%、高卒未満では12.4%にハネ上がる。就職環境にこれほどの差があることを踏まえれば、大学進学意欲が高まることも無理はないだろう。



■ 雇用・所得環境の回復の遅れも、負担増す一因

 ただし、こうした大学進学のメリットも、以前に比べれば輝きを失いつつある。確かに大卒者の失業率が低いとはいえ、相対的に低賃金とされる職種や、パートタイムのような不安定な職場でしか就職先が見つからない、いわゆる「不完全雇用(Underemployment)」の問題が深刻化しているからだ。

 2010年に行われたドレクセル大学の調査では、20~24歳の4年制大学卒業者における不完全雇用の割合が39.1%に達している。とりわけ景気後退以降は不完全雇用の増加テンポが強まっているという。

 前述した大卒者の賃金も、水準こそいまだ高いものの、伸びは鈍化している。景気後退以前はおおむね前年比2~3%の上昇ペースを保っていたが、2010年以降は1%近傍の伸びにとどまった。もちろん、こうした回復の弱さは大卒者だけに限ったものではないが、学生ローン債務が物価上昇を上回るペースで増加していることを考えると、大学教育への投資妙味は以前に比べて色あせていると言えるだろう。最近では新聞報道などで大卒者の学生ローン返済負担の重さが社会問題として取り上げられることも多くなった。

 ローン返済負担の増大は、延滞率の動きからも見て取れる(図)。

 景気回復局面に入って住宅ローンや自動車ローン、クレジットカードローンなどの延滞率が低下傾向にある中、学生ローンの延滞率だけが上昇を続けている。それだけ、返済に困る人が増えているということだ。

■ 返済負担の重さが若年層の消費活動にも影響

 また、学生ローン返済負担の重さは、すでに若年層の消費活動にも影響を及ぼしつつあるようだ。

 ニューヨーク連銀の分析によれば、景気後退以降、学生ローン債務を抱える若者は、そうでない若者に比べて住宅や自動車の購入が少なくなっているという。学生ローン返済負担が重みを増したために、ほかのローンの借り入れ余力が低下し、住宅や自動車を購入することが難しくなっていると考えられる。

 前回のコラムで示したように、米国では信用環境の改善が徐々に進んでおり、今後は銀行貸し出しなど金融仲介機能の回復が景気を後押しするとみられる。そうした局面において、本来、若い世代は家庭を持ち、自動車や住宅の購入などを通じて経済成長の担い手となるべき存在だ。

 しかし、若者世代が学生ローンの重荷によって信用環境の改善による恩恵を十分に受けることができなければ、景気を後押しする力もそれだけ削がれることになる。進学熱の高まりを背景に拡大を続ける学生ローンだが、当面はその副作用にも注意する必要がありそうだ。

服部 直樹




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