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三菱リージョナルジェット、略してMRJ――。総合重機メーカー最大手、三菱重工業が計画する70~90席クラスの地域路線向け小型旅客機だ。

2015年度中の就航を目指し、子会社の三菱航空機(本社・名古屋市港区大江町)を通じて開発作業を進めている。MRJの開発に三菱重工は航空宇宙部門から700人近い技術者を投入、総開発費は1800億円にも及ぶ。まさに同社の社運を懸けた一大プロジェクトと言っていい。

オールジャパンによる初の国産旅客機、「YS-11」(初飛行は1962年)の生産が1972年に終了して以降、国産旅客機の誕生は途絶えている。同機の開発で中心的役割を果たした三菱重工は、その後も独自に定員10人未満の小型ビジネス機を開発したが、事業としては失敗。以後、国内航空機産業は海外完成機メーカーの下請けに甘んじ、新たな国産旅客機の開発は日本の航空機産業、そして三菱重工の悲願だった。

長きにわたる空白期間を経て、三菱重工は2008年に旅客機の自主開発を決断。同年春に事業主体となる三菱航空機を設立し、MRJの本格的な開発をスタートさせた。そこから今年で6年目。この間、設計変更や開発の遅れから2度のスケジュール変更を余儀なくされたが、いよいよ今年秋から、実機による飛行試験のフェーズに入る。
■飛行試験用の機体製作急ぐ、初号機は夏までに完成

飛行試験は膨大な検証データを集めるのが目的で、MRJは日本と米国で延べ2500時間に及ぶ飛行試験を計画している。必要なデータを効率よく集めるために、飛行試験用の実機を5機用意し、それを並行して飛ばすという。

機体を製作するのは三菱重工本体の仕事だ。愛知県内の航空関連工場がその役割を担い、製造現場では飛行試験に向けた機体の準備に追われている。地上での強度試験にも2機使用するため、必要となる試験用の実機は合計7機。すでに初号機に関しては組み立て作業に取りかかっており、遅くとも夏までには機体が出来上がる予定だ。

■ライバルはブラジル、カナダ勢など4社

MRJが参入する100席以下の小型リージョナル旅客機は現在、北米、欧州を中心に世界で約3400機が飛んでいる。そうした既存機の更新需要に加え、将来的にはアジアなど新興国でも地域路線の整備が予想されるため、「今後20年間で新たに5000機前後の需要が見込まれる」(三菱航空機の福原裕悟・営業部部長代理)。

航空機業界の巨人であるボーイング、エアバスはいずれも100席以下の旅客機を手掛けておらず、このクラスはエンブラエル(ブラジル)とボンバルディア(カナダ)の2社が市場を二分。さらに軍用機で知られるロシアのスホーイ社が2011年に出荷を開始、中国企業も同サイズ機の開発を進めている。

いちばん最後に名乗りを上げたのがMRJだ。多くの実績がある2社のみならず、ロシア、中国勢にも地盤を確立されてしまったら、参入のチャンスは永久になくなる――。三菱重工が2008年に開発本格着手へと踏み切った背景には、そうした強い危機感もあった。

MRJは開発スタートが最後発になった分、米国プラット&ホイットニー社が開発した最新鋭の次世代型エンジンを採用。同エンジンは燃費性能と騒音などの環境性能に優れている。また、機体のデザインにおいても、最新の空力設計技術を取り込んだ。三菱航空機の二ツ寺直樹・機体設計部長は、「われわれが目指すのは、次世代のリージョナルジェット機。経済性、環境性、快適性。そのすべてにおいて優れたものになる」と話す。
■燃費性能を武器に大口受注、「シェア5割取る」

中でも最大の“売り”は、他社機種より2割優れているという燃費性能だ。現在、リージョナル機の平均的な1日当たりの総運航距離は6000キロメートル前後で、その燃料コストは1機当たり年間6億円前後に上ると言われている。燃費性能が2割違えば、それだけで年間のコストが1億円以上浮く。燃料高に頭を抱えるエアライン(航空会社)にとって、これは非常に魅力的だ。

高い性能を掲げるMRJに、海外のエアラインからも大きな注目が集まる。昨年12月には、米国のスカイウェスト社から、オプション(=優先予約権)を含め200機の大口受注を獲得。これでバックオーダーは確定分が170機、オプションも含めると300機を超えた。MRJの定価は1機4200万ドル(42億円弱)。定価で計算すると、金額にしてざっと7000億円の受注をすでに確保したことになる。

三菱航空機の川井昭陽社長によれば、「リージョナル機で飛行試験前にこれだけのオーダー数が集まるのは画期的なこと」だという。しかも、大口契約を結んだスカイウェスト社は、毎日4000便を運航する米国最大の地域エアライン。その同社から選ばれたことで、業界内での注目度は一段と高まった。「米国に限らず、MRJに対するエアラインの関心は非常に強い。最低でもこれから出てくる需要の半分、シェア5割は取りたい」と川井社長は自信を見せる。
■最大の難関は型式証明の取得

となると、期待は高まるばかりだが、MRJを世に送り出すには、まだまだ多くの課題が残されている。川井社長の言葉を借りれば、「開発作業は、初飛行まで行ってようやく5合目程度。そこからが本当のヤマ場」だ。

飛行試験で膨大なデータを集めたら、今度はそれを解析して、設計にフィードバックする作業が待っている。今までの開発作業はあくまで、さまざまな仮定数値を前提としたシミュレーションの世界。実際に機体を作って飛ばせば、地上では想定しえなかった多くの問題に直面する可能性がある。

問題点が出てくれば、当然、設計の見直しを強いられる。設計を見直せば、再び実機を使った検証作業も必要だ。こうした作業の末に、「次世代リージョナルジェット機」の名にふさわしい旅客機へと仕上げられるかどうか。MRJは高い性能をうたっているだけに、そのハードルもおのずと高い。

そしてもうひとつの大きな課題が、安全性の証明だ。墜落すれば大惨事が避けられない旅客機は、航空法で厳しい安全基準が課せられている。実際に製品として出荷するには、開発メーカー自身が機体の安全性を確信するだけでなく、それを客観的に証明して、国から型式証明と呼ばれる設計承認を得る必要がある。

「極論すれば、飛行機自体を作るよりも、その安全性を証明するほうが大変」と川井社長自身が語るように、型式証明の取得には膨大な労力と時間を要する。何しろ、型式証明は「飛行」や「強度」「設計・構造」「動力装置」など分野ごとに数十項目、全部でざっと400もの細かな基準項目が定められており、そのすべての基準を満たすことが義務づけられている。

開発メーカー側は項目ごとに必要な解析・試験データを用意し、基準に適合することを自ら証明しなければならない。こうした証明作業は開発と並行して進められていくが、「1項目を証明するための提出資料が数百ページに及ぶのはザラ」(審査に当たる国土交通省の航空機技術審査センター)というから、何とも気の遠くなるような作業である。
■「何としてでも開発をやり遂げる」

開発に伴う資金負担もこれから一挙に重くなる。人件費に加え、飛行・地上試験に必要な実機製作に伴う出費が本格的に始まるからだ。「開発費用は今2013年度からハネ上がり、14、15年度と高い水準が続く」(三菱航空機)。しかも、期間損益の黒字化は商業機の量産開始から数年後、投資を回収し終えるのははるか先のことだ。

こうした一連の課題や多額の先行投資負担は、MRJを世に送り出すための“産みの苦しみ”とも言えるが、「われわれが全力で頑張れば乗り越えられる。何としてでもやり遂げる」と三菱重工の大宮英明会長は言い切る。

その大宮氏から4月に三菱重工社長職を引き継いだ、宮永俊一新社長も思いは同じだ。「旅客機は参入障壁が非常に高い。しかし、その大きな壁を乗り越えれば、長期にわたって開発者メリットが享受できる。MRJは当社の長期的な発展に欠かせない」。三菱重工の未来をも背負ったリージョナルジェット旅客機・MRJ。その誕生に向けた挑戦が続く。




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